代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 もちろんHEROが写っていた。

 端にはサインも入っている。

 だが七海が気にしたのは、HEROの容貌だった。

 一華がよくSNSや雑誌を見せてくるために、HEROのことは、割合頻繁に目にしている。

 黒髪の彼は、一重の目元が涼やかな印象で、顔の輪郭も引き締まっていて美しい。

 微笑を浮かべた表情には、クールさと艶っぽさが同時に含まれていた。

「今日はね、前髪を斜め分けしてたの! メイクも『ファン向けイベントだから』って、ナチュラルな感じで、ちょっと珍しいし、セクシーでしょ」

 一華が黄色い声で話した通り、写真のHEROは前髪を斜めに流していた。

 シンプルな黒の短髪をしている彼は普段、前髪を普通に下ろしている。

 少なくとも、七海のような、ファン以外の人間が緩く目にするときの姿は、そのスタイリングが多い。

 今日のものは、そんな普段のスタイルよりだいぶ違ったが、確かに二十八歳という年齢以上に大人っぽく見えて、魅力的だった。

 しかしそれよりも……。

(今日お会いした西条さんの髪型に……、いや、印象に似てる……?)
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