代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 パーティー自体は、七海も実家でたまに出席している。

 家が元・華族なのだから、その関係だ。

 でもなにしろまだ独身で、彼氏もいない七海は、父以外の男性からエスコートを受けるのは初めて。

 二十四歳という身では別に遅くもないが、軽い緊張が浮かんだ。

 その気持ちをほぐすように、八尋はまた笑みを向けてくれる。

「形だけですし、今日だけのことですから」

 そう言われて、七海は余計に恥ずかしくなった。

 慣れていないのを察されたのだ。

「は、はい。よその方にエスコートしていただけるのは初めてなので……頑張ります」

 先ほどと同じように言ってしまったが、八尋はかえって笑みを濃くした。

「おや、それは嬉しいです」

 それでそんなふうに言うものだから、七海の心臓は、はっきりと大きく跳ねた。

 好印象を持っていた相手から、初めてなのを『嬉しい』と受け取ってもらえるなんて、ドキドキしてしまう。
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