代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
「来てくれてありがとう。この新作プロモーションをぜひ見てほしかったんだよ」

「ええ……とても素敵です」

 笹木という名字らしい彼は、満面の笑みで話を始めた。

 上機嫌な様子である。

 対して八尋……なのだろうか?

 彼は、非常に気まずそうな様子で相づちを打っている。

「そうだろう!」

 笹木は満足げに声を上げ、そして核心であることを言い放った。

「やはり八尋くんは華があるな。映像にも映え……あ、いや、HEROくんと芸名で呼ぶべきだな。昔からの付き合いで、ついつい……」

 今度こそ、七海は無になった。

(HEROの本名……ってことだよね? 八尋さんがHERO? じゃあこの隣にいる八尋さんは……?)

 混乱の渦に突き落とされた七海。

 八尋と今まで名乗っていた彼は、心情を察しただろう。

 眉を寄せて、非常に申し訳なさそうな顔になった。

「すみません、一華さん」

 一言だけ、謝られる。

 混乱が強まるばかりの七海だったが、すべての説明は、プロモーション映像が終わり、ホールの外へ出てから聞くことになった。
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