代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 でも玖苑がそんなことを指摘するはずはない。

「嬉しいです! 必ず幸せにしてみせます……!」

 手放しでの喜びの表情と声になる。

 顔いっぱいに幸せそうな感情が浮かんだ。

 そうして玖苑は、包んだ七海の手を、もう少し力を入れて、きゅっと握る。

 言われたことも、もっとはっきり伝わった体温も、両方七海を照れさせてしまう。

 だがこれはまだ甘かった。

「抱きしめても良いでしょうか?」

 幸せいっぱいの表情で言われて、七海は違う意味で顔が熱くなってしまった。

 これはシンプルに羞恥だ。

 頬もきっと、もう赤いだろう。

 それがまた恥ずかしくなる。

「え、えっと……、慣れてない、んですけど……」

 なので、またしても情けないことに、もじもじしてしまった。

 声もはっきり照れたものになる。

 なのに玖苑はそれすら肯定してくれた。

「かえって嬉しいです。あなたが知るのは俺だけになるんですから」

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