この恋は偶然?いや運命です!
舞と隼は、ふたりに手を振って、街灯もまばらな道を歩き出す。

「舞ちゃんさ、Crimson Liltのアルバイトでチケットもぎりしてた、って言ってたでしょ。
 それって、もしかして東京ドームの最終公演の日?」

「そうです!
 お客さんたくさんで。

 人混みすごくて。
 もみくちゃにされて、なかなか抜け出せなかったの。
 
転びそうになったところを、誘導の警備の人に助けてもらった、気がします」

「それ、たぶん俺だ」

「えっ、そうだったんですか?」

 そういえば、彼のショルダーバッグについている缶バッジは、あの時見たものと同じだ。

「あと、医学生の模試の手伝いもしてたでしょ。
 試験用紙配布して、回収して。

 俺も手伝わされたんだよね。

 試験監督してる間、暇で仕方なかった。

 廊下ですれ違ったとき、声掛けたかっけど。

 君は俺のこと、覚えてないだろうな、って思って。

 話しかけるの、躊躇っちゃった」

 
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