訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
父がふむと頷き、お見合いの話を取り下げたのを確認すると、私は心の中で喝采を上げた。

これでしばらくは時間を稼げたと思う。

私は大収穫を得て、その日意気揚々と実家を後にした。


◇◇◇


自宅へ帰宅してリビングのソファーへ身を沈める、私はずっと鞄に入れっぱなしだったスマホに目を向ける。

いつの間にか未読のメッセージが何件か溜まっていた。

登録している公式アカウントからのメッセージがほとんどだったが、その中に要さんからのものがあった。

来週の恋愛コンサルの日程についてまだ決めていなかったから、たぶんその件だろう。

――要:『来週の予定はどう?』

メッセージを確認すると、やはり思った通りの内容だった。

予定を問うシンプルな一文が記されている。

――亜湖:『20日、25日のどちらかなら大丈夫です』

私は仕事のシフトを手帳でチェックし、いつものように候補日を送った。

まぁ、この2日程ならば25日になるかなと内心で思いながら。

なにしろ25日はクリスマスだ。

今年は珍しくこの日がお休みだったのだ。


でも要さんから返ってきたメッセージは……


――要:『俺もその日程ならどちらでも問題ないよ。どっちにする?』

こんな空気の読めない返事だった。


「いやいやいや、25日ってクリスマスですけど!? そこ完全スルー!?」


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