訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
さらには、ふいにこちらへ向かって片手が伸びてきたかと思うと、要さんは私の顔にかかっていた髪を持ち上げてするりと私の耳にかけた。

「!?」

声にならない声が漏れる。

同時にものすごい速さで心臓が早鐘を打ち始めた。

 ……ちょっと要さん、どうしちゃったの!? 家デート設定で壊れちゃった!?

今日は度々ドキドキさせられる。

前回でスキンシップが解禁になったから、2人っきりというシチュエーションの家デートでさらなるステップアップを試みたのだろうか。

 ……落ち着け、私。私に求められているのはビシバシ指摘しつつ女心を解説すること。つまり、今すべきは……。

「すごいです、要さん。髪を耳にかけられたのはドキッとしました! 女性は不意打ちに弱いんです。今のは間違いなく女心をガッチリ掴めると思います!」

そう、褒めることだ。

私はうんうんと頷きながら、心の動揺を誤魔化すかのようにやや大袈裟に褒め言葉を口にした。

だが、せっかく褒めたのに要さんはなぜかあまり嬉しそうではない。

そこで私はさらに言葉を重ねる。

「それにしてもここ最近の成長ぶりはすごいですね。確実に女心を理解してきていると思います。思ったのと違ったなんてもう二度と女性から言われないはずです!」

「そうかな。……でも俺が想いを寄せる人には通じていなさそうなんだけど」

「えっ……」

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