訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
私がそう言うと要さんはマグカップをテーブルの上に置いた後、ダークカラーフレームの眼鏡を片手で外した。

眼鏡がなくなって現れたのは、各パーツが驚くほど精巧に整った顔面だ。

眼鏡がない分よりダイレクトに目に飛び込んでくる。

 ……ううっ、まぶしすぎる……!

以前はただただ感心するだけで、それほど要さんのイケメンぶりに動じなかった私なのだが、なんだか最近は心を乱されがちだ。

いちいち動揺している自分が情けなくなる。

そんなことを内心で自省しつつ、要さんから眼鏡を受け取ろうとした次の瞬間。

私の鼓動は大きく飛び跳ねた。

 ……えっ……!?

なんと要さんがテンプルを両手で支えながら、私の耳にそっと眼鏡を掛けてきたのだ。

思わぬことに驚いて、私は目を瞬き、眼鏡越しに要さんを見つめる。

テンプルに手を添えたままの要さんと、しばしお互いに見つめ合った。

「要さん……?」

沈黙に耐えかねて私がそう問いかけると、要さんはハッとしたように眼鏡から手を離した。

そして正面から私をじっと見つめて、ささやくようにつぶやく。

「……うん、亜湖ちゃんは眼鏡も似合うね」

向けられる視線がやけに熱っぽいのは気のせいだろうか。

それに顔が近い。

どうにも落ち着かず、ムズムズしてくる。

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