訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
好きな人が好きな人を落とそうと頑張っているのをどうしても素直に応援できない。

 ……私って心狭いなぁ。でも恋愛コンサルは一旦ストップって宣言してあるから、許容だよね……!?

そう自分に言い聞かせ、メッセージにはあまり過剰に反応しないよう心掛け、私は当たり障りなく淡々と返事を返すようにした。

甘さの宿る要さんのメッセージにも困り物だが、私の心を掻き乱すのは残念ながらそれだけではない。

「亜湖ちゃん、同じ便に乗務するのなんだか久しぶりじゃない? ミュンヘンに着いたら一緒にディナーに行こうね~!」

「ここ最近は搭乗便が重ならなかったですもんね。なんかお久しぶりです! ミュンヘンでの円香さんとのディナー楽しみです!」

そう、好きな人の想い人である円香さんの存在だ。

にっこり笑っていつも通りの愛され笑顔を向けるけれど、やっぱり意識してしまってぎこちなくなってしまう。

円香さんは何も悪くない。

私が一方的に嫉妬して心にモヤモヤを抱えているだけなのだから。

羽田発ミュンヘン行きの国際線での乗務中、私はCAとしてプロフェッショナルに徹し、円香さんのことをできるだけ意識から離してひたすら仕事に集中した。

そうして無事にミュンヘンに到着して、ディナーのために街へ繰り出した時だ。

食事の最中についに円香さんの口から要さんの話が飛び出した。

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