訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
 ……でもこの前お見合いの回避は成功したはずなんだけど。

12月に父と昼食をとった際、上手く言いくるめて、しばらくはお見合いはないだろうと確信を持てる状況に持っていったはずだ。

父も私の気持ちに理解を示してくれていた。

あれからまだ2ヶ月しか経っていない。

再びお見合いの話が浮上するにしても早すぎる気がする。

 ……ということは、他の話だよね? なんだろ?

まったく心当たりがないなぁと思いながら父と顔を合わせたところ……

「亜湖、来週見合いをしなさい」

なんと用件はまさかのお見合いだった。

「……えっ、でも、この前私の意向はお父様に伝えましたよね……?」

虚をつかれ、私は面食らいながら父に訊ねる。

「ああ、お前の気持ちはしっかり理解しているとも。だからその意向に沿った見合いだ」

「意向に沿ったお見合い、ですか……?」

 ……なにそれ、どういうこと!?

父の言う意味が分からず、私は大きく首を傾げた。

すると父は得意げに胸を張って説明し出した。

「亜湖は結婚しても今の仕事を続けさせてくれる男がいいのだろう? だからその意向を汲んで見合い相手はお前の仕事を認めている男だ」

 ……えーーっ! そういう解釈!?

私はそれとなくお見合い自体が嫌だから遠慮すると主張したつもりだったが、不十分だったらしい。

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