訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
確かに言葉尻だけ捉えれば、父がそう理解してもおかしくないのかもしれない。

 ……ついいつもの外面を作った愛され女子モードが発動しちゃったんだ。やんわり言い過ぎて全然伝わってなかったっぽい! 不覚ッ……!

私は心の中で思いっきり頭を抱えた。

父の口ぶりからもうお見合いは確定っぽい匂いがするし八方塞がりだ。

「お父様、そのお見合いっていうのは―――……」

「相手は党の幹部議員の次男だ。優秀で今後の活躍が楽しみな有力株の男でな。見合い相手となるその息子も大手商社に勤務する将来有望なエリートだそうだ。わしとしても縁戚になるのは吝かではないと思っている」

やはり相手は議員の息子。

双方に縁戚となるメリットがある政略結婚だ。

「それになんと言っても今回は向こうからぜひ亜湖を、と熱烈に申し出を受けたからな。見合い相手である息子は、以前亜湖に会って惚れ込んだらしいぞ。お前が客室乗務員をしていることも知っていたし、結婚後もぜひ仕事を続けて欲しいと言っているそうだ。どうだ? なかなか良い相手だろう?」

 ……えっ、私に会ったことがある!? 誰のこと!?

一瞬だけクリスマスの日に遭遇したあの男性が脳裏をよぎった。

でもあの人は要さんが撃退してくれたし、それに私の職業は知らないはずである。


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