訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
私は要さんがJP航空に取材に訪れた際に顔を合わせた男性のことを思い出す。
穏やかな雰囲気で人当たりのいい感じの人だったように記憶している。
でもなぜその坂田さんに電話をする必要があるのだろうか。
私のお見合いの件とどうにも繋がらず、私は脳裏に疑問符を盛大に浮かべた。
「ああ、もう読んでくれたんですか? 昨日送ったばかりなのに。あ、ちょっと待ってください。電話したのは別件で―――……」
電話中に私の方へ近づいてきた要さんは、そのまま話を続けながら、スマホを持っていない方の手でなぜか私の髪を弄り始めた。
一房掬ってもて遊び、次第に髪に飽きてきたのか、今度はターゲットを耳に変える。
するりと私の耳に指を這わせ始め、触れるか触れないか程度のタッチで戯れるように優しく撫でてきた。
「…………ッ!」
ゾクリとする感覚に思わず声を漏らしそうになって、私は慌てて手で口を塞ぐ。
……ちょっと! 電話中に何するんですか!
恨めしげに要さんを見やるも、一向にやめてくれない。
その指の動きが昨夜の情事を思い起こさせ、私の頬が赤らむ。
朝から変な気分になってくるし、電話の向こう側に声が聞こえてしまわないよう耐えなきゃいけないし、頭がおかしくなりそうだ。
「――承知しました。ではこれで。失礼します」
ようやく電話が終わりホッとしたのも束の間。
穏やかな雰囲気で人当たりのいい感じの人だったように記憶している。
でもなぜその坂田さんに電話をする必要があるのだろうか。
私のお見合いの件とどうにも繋がらず、私は脳裏に疑問符を盛大に浮かべた。
「ああ、もう読んでくれたんですか? 昨日送ったばかりなのに。あ、ちょっと待ってください。電話したのは別件で―――……」
電話中に私の方へ近づいてきた要さんは、そのまま話を続けながら、スマホを持っていない方の手でなぜか私の髪を弄り始めた。
一房掬ってもて遊び、次第に髪に飽きてきたのか、今度はターゲットを耳に変える。
するりと私の耳に指を這わせ始め、触れるか触れないか程度のタッチで戯れるように優しく撫でてきた。
「…………ッ!」
ゾクリとする感覚に思わず声を漏らしそうになって、私は慌てて手で口を塞ぐ。
……ちょっと! 電話中に何するんですか!
恨めしげに要さんを見やるも、一向にやめてくれない。
その指の動きが昨夜の情事を思い起こさせ、私の頬が赤らむ。
朝から変な気分になってくるし、電話の向こう側に声が聞こえてしまわないよう耐えなきゃいけないし、頭がおかしくなりそうだ。
「――承知しました。ではこれで。失礼します」
ようやく電話が終わりホッとしたのも束の間。