訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
03. 変な依頼
さて、目の前のこの男性は一体何者だろうか。
私はオーダーしたコーヒーに口をつけながら、こっそりと相手を盗み見る。
年齢は、おそらく30歳前後。
クルーネックの半袖ニットにゆったりとしたパンツというシンプルでラフな服装だ。
どれも一見するだけで分かる露骨なブランド物ではないものの、明らかに上質なものだ。
仕事柄、日々色んな人に接しているが、その経験上、彼の醸し出す雰囲気はおおよそ普通の会社員には見えない。
……うーん、このオシャレで洗練された感じは、デザイン関係の仕事の人? もしくはファッションや美容系? あ、このルックスだったらモデルという線もあるかも。
不躾ではない程度に相手をマジマジと観察しつつ、私は考えを巡らせる。
一方の男性も『グチグチノート』を見せて私との会話に持ち込んだくせに、すぐに話を始めようとはしなかった。
私に飲み物をオーダーする時間を与えてくれた上に、今も何やら私の存在など忘れて1人で思考に耽ってる様子である。
……『グチグチノート』をなんでこの人が持っているのかは謎だけど、それよりも、問題は中身を見たかどうかよね。
ただ、仕事関係者に見られるという一番最悪のケースはどうやら避けられたようだ。
そのことに心底ホッとする。
まぁ、それさえ避けられたならば、正直あとは些細なことだ。
知り合いでもなんでもないこの男性に見られたところで、決して気分の良いものではないものの、きっと実害はないはずだ。
そう思えば、ふっと肩の力が抜ける気がした。
とりあえず、男性が私とどんな話がしたいのか知らないけど、話を始めなければ先に進まない。
早く相棒を返して欲しいし、ここは私が切り出すべきだろう。
「それで、あの、お話があるとのことでしたが、それはどういった――」
「そうだ、思い出した! 飛行機の中だ!」
「…………えっ?」
私が思い切って話を始めたところ、その第一声を途中で突然遮られてしまった。
何か閃いたらしい男性が言葉を被せてきたのだ。
その言葉の中に“飛行機”という不穏な単語が耳に飛び込んできて、私は一瞬身を強張らせる。
なんだか非常に嫌な予感がした。
そんなこちらの心情など知る由もない男性は、スッキリしたと言わんばかりの表情で私に目を向ける。
私はオーダーしたコーヒーに口をつけながら、こっそりと相手を盗み見る。
年齢は、おそらく30歳前後。
クルーネックの半袖ニットにゆったりとしたパンツというシンプルでラフな服装だ。
どれも一見するだけで分かる露骨なブランド物ではないものの、明らかに上質なものだ。
仕事柄、日々色んな人に接しているが、その経験上、彼の醸し出す雰囲気はおおよそ普通の会社員には見えない。
……うーん、このオシャレで洗練された感じは、デザイン関係の仕事の人? もしくはファッションや美容系? あ、このルックスだったらモデルという線もあるかも。
不躾ではない程度に相手をマジマジと観察しつつ、私は考えを巡らせる。
一方の男性も『グチグチノート』を見せて私との会話に持ち込んだくせに、すぐに話を始めようとはしなかった。
私に飲み物をオーダーする時間を与えてくれた上に、今も何やら私の存在など忘れて1人で思考に耽ってる様子である。
……『グチグチノート』をなんでこの人が持っているのかは謎だけど、それよりも、問題は中身を見たかどうかよね。
ただ、仕事関係者に見られるという一番最悪のケースはどうやら避けられたようだ。
そのことに心底ホッとする。
まぁ、それさえ避けられたならば、正直あとは些細なことだ。
知り合いでもなんでもないこの男性に見られたところで、決して気分の良いものではないものの、きっと実害はないはずだ。
そう思えば、ふっと肩の力が抜ける気がした。
とりあえず、男性が私とどんな話がしたいのか知らないけど、話を始めなければ先に進まない。
早く相棒を返して欲しいし、ここは私が切り出すべきだろう。
「それで、あの、お話があるとのことでしたが、それはどういった――」
「そうだ、思い出した! 飛行機の中だ!」
「…………えっ?」
私が思い切って話を始めたところ、その第一声を途中で突然遮られてしまった。
何か閃いたらしい男性が言葉を被せてきたのだ。
その言葉の中に“飛行機”という不穏な単語が耳に飛び込んできて、私は一瞬身を強張らせる。
なんだか非常に嫌な予感がした。
そんなこちらの心情など知る由もない男性は、スッキリしたと言わんばかりの表情で私に目を向ける。