訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「そういうことじゃなくて! なんで私のことこんなに語っちゃってるんですか!?」


私は読んでいた雑誌を握りしめ、手をワナワナと震わせた。

要さんが受賞をキッカケに顔出しする決意をしたのは知っている。

授賞式に出席したり、インタビューに応じたりする話も聞いていた。

 ……でもそのインタビューの場で私のことを語るなんて知らなかったんだけど……!


目の前の記事内では、全体のうち7~8割近く『妻』の話が占めている。

客観的に見て、惚気ていると言われても過言ではない内容だ。

現に、さっき母から『克敏さんと一緒に見たけど、ものすごい惚気だったわね。亜湖ったら溺愛されているのね!』とメッセージが来た。

身内にそんなふうに言われると、恥ずかしくて居た堪れない。

「ごめん、嫌だった?」

「嫌ってわけではないですけど。恥ずかしいというか……」

「可愛いなぁ。実は亜湖ちゃんのそういう顔が見たかったからっていう理由もあるんだけど」

「もう!」

付き合い始めてからというものの、要さんは私がタジタジになるのを殊の外楽しんでいる。

それは夫婦になってからも変わらない。

私も外面を取っ払って、遠慮なくビシバシ言ってるけど、どう考えても要さんに翻弄されていることの方が多い気が常々している。

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