訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
笑顔が崩れそうになるのを必死で堪えながら、私は男性の方を見て、可愛らしく上目遣いで小首を傾げた。

 ……ちょっとあざといけど、これでどうだ!

渾身のおねだりは無事通じたようだ。

ようやく男性が『グチグチノート』をテーブルから持ち上げ、私の方へ手渡そうとして――

どうしてだかそこで一旦動きを止めた。

「えっ?」

予想外のことに思わず声が漏れてしまったのは致し方ないことだろう。

それくらい私は虚を突かれた。

だが、次の男性の言葉に私はさらなる衝撃を受けることになる。


「あのさ、俺にもボロクソ言ってくれない?」

「!?」


今度は声が漏れなかった。

呆気に取られすぎて、言葉を失ってしまったからだ。

一瞬の放心の後、徐々に意識が回復し出すと、続いて私の脳内は今しがた言われた言葉を反芻し始める。

 ……はぁ!? ボロクソに言う? 何言ってるのこの人! ドMの変態なの!?

こんなにイケメンなのに残念すぎ、とつい胡乱げな目を向けてしまう。

私が何も答えられずに笑顔のまま固まっている様子に気づいたのか、男性はハッとしたように再び口を開いた。

「あ、勘違いしてるかもしれないから言っておくけど、別に俺はドMの変態とかじゃないから」

私の心を見透かしたかのような一言に「じゃあ何あの台詞は!?」と心の声の勢いのまま口に出してツッコミそうになる。

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