訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「マスターはノートが置き忘れてあった席から、それが君だと見当がついたみたいでね。夕方から夜の時間帯によく来る常連客の1人だと教えてくれたんだ。だからここ数日、こうしてここに通い詰めて君を待ってたってわけ」

マスターには私と顔見知りだけど連絡先は知らないと言っておいたそうだ。

 ……ていうか通い詰めて待ち伏せするとか暇人すぎ!

ちなみに男性は、ノートを拾った日がこの喫茶店への初来店で、色々煮詰まっていたから気分転換に深夜にふらりと立ち寄ったらしい。

おそらくあの日、私とほぼ入れ替わりで来店したお客さんがこの男性だったのだろう。

「あの、なんでノートの持ち主に会って話してみたいなんて思ったんですか?」

「さっきも言った通り、書いてあることがあまりに面白かったから。毒舌全開で物事をズバズバ斬りまくってて痛快だったよ」

「毒舌全開……痛快……」

ただ心の中に溜まった不満や愚痴を吐き出していただけなのに、そんなふうに面白がられるなんて思わなかった。

意外な言葉に、不快さと悔しさで膨らんでいた気持ちがふしゅーと萎んでいく。

なんていうか呆気に取られて、毒気を抜かれてしまった心地だ。

「でもまさか、このノートの持ち主が先日のフライトでお世話になったJP航空のCAさんだなんてね。正直意外すぎて驚いた」

「そうですね、私も驚きました!」

< 25 / 204 >

この作品をシェア

pagetop