訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる

04. 読書感想文

 ……はて? これはなんだろ?

男性が鞄から取り出してテーブルの上に乗せたのは、A4サイズの紙の束だった。

特大ダブルクリップでまとめられた紙は、パッと見ただけでかなりの枚数があるのが分かる。

それを男性は私へと手渡してきた。

だけど、こんな謎の紙束を押し付けられても正直困る。

とりあえず受け取ったものの、ずっしりと重さのあるそれを手に、私は無意識に首を傾げてしまった。

「これなんですか? いきなり渡されても困るんですけど。重いし」

私は思ったことをそのままストレートに伝えつつ、検分するように紙の束に視線を落とした。

パラパラと数枚捲ってみると、そこには機械的な文字が縦書きでぎっしり並んでいる。

どうやら紙の束は、パソコンで書いた内容を印刷したもののようだ。

「それは小説の原稿なんだ」

「小説?」

「そう。俺の書いたね。で、さっきも言った通り、君にはそれを読んで感想を教えて欲しいんだ。もちろん忖度なしでボロクソ言ってくれていい。むしろそれを期待してる」

それを聞いて、ちょっとだけ安堵した。

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