訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
正直、あのイケメンがどんな恋愛小説を書くのか興味がある。

あのルックスなのだから、そりゃあ恋愛経験は豊富で、百戦錬磨に違いない。

そんな人が描く物語に興味を引かれるのは無理からぬことだろう。

 ……さてさて。なんでもそつなくスマートにこなしそうなあのイケメンが書いたのは、どんな恋愛小説なのやら。

私は愛され笑顔とは似ても似つかない、ニヤリとした笑みを浮かべると、手元の原稿のページを捲って冒頭から読み始めた。

ただ、ぶっちゃけると実は私、それほど普段から本を読む方ではない。

そのため、活字に慣れていないこともあり、読書スピードはまるで亀のような歩みだ。

結局この日だけでは読み終わらず、その後数日かけて隙間時間にちょっとずつ読み進めた。


「ふぅ~最後まで読めたぁ~!」

そして最終的に読了したのは、葉山さんと会う約束の3日前。

仕事で訪れていたニューヨークのホテルでだった。

前日に羽田発ニューヨーク行きの便に搭乗したため、今日の私はステイ業務となっていた。

ステイ業務とは、到着した先において会社が用意したホテルに宿泊し、身体を休息させる仕事日のことだ。

国際線のフライトは長時間だし、その間ずっと気を張っていなければいけないので、結構気力と体力を消耗する。

帰国便で仕事のパフォーマンスが落ちないよう、ステイ業務を上手く使ってリフレッシュするのが鉄則だ。

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