訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
タイトルに聞き馴染みがあり、私は目を見開いた。

数年前に大ヒットした、超人気俳優が主演のドラマだ。

それにそのドラマの元になった原作小説の作者といえば、数々のベストセラー小説を世に出している売れっ子小説家だったはず。

『真夏の陽炎』だけでなく、他の小説も映画化やドラマ化されていて、あまり小説を読まない私でも名前を知っている。

むしろ知らない人の方が少ないんじゃないだろうか。

「ちょっと待って! ウソでしょ!? 葉山さんがあの花山粧(はなやまめか)ってこと!?」

「あ、知ってくれてるんだ。そうそう、それが俺のペンネーム」

信じられないと愕然とする私に対し、葉山さんはしごくアッサリと肯定して頷いた。

あまりにも驚きすぎて何も言えない。

今頃になってこんな衝撃的な事実をサラリと明かさないで欲しい。

 ……葉山さんが花山粧ってことは……えっ、私、売れっ子小説家が書いた小説に対してあんなボロクソ言っちゃたの!?

事実を知った今、本人からそう頼まれたとはいえ、素人がかなり生意気なことを言ってしまったと冷や汗がどっと噴き出す。

でも1つ言い訳させて欲しい。

気づきようがなかったのだ。

花山粧は世間に顔が知られていないはずだし、名前も全然違うし。

「ごめん、驚かせた?」

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