訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「それは朗報ですね! ここ数ヶ月はいいアイディアが浮かばないって煮詰まって、花山先生、珍しく悶々と苦悩されている感じでしたし。良かったですね」

「ええ、延々と迷走していた日々から抜け出せそうでホッとしてます。迷走極まってミステリ作家の俺が、無謀にも恋愛小説に挑戦したりしましたしね」

「えっ、本当ですか!? それはぜひ読んでみたいです。花山先生の才能なら名作生み出してくれそうですから一編集者として非常に興味があります!」

ここ最近の出来事を軽く報告していたところ、坂田さんは編集者として俺が書く恋愛小説に酷く興味を引かれたようだった。

期待がありありと浮かぶ眼差しを向けられたが、俺は数日前の出来事を思い出し、込み上げてくる笑いに肩を震わせる。

「はははっ、名作どころか駄作中の駄作ですよ。これでもかって言うくらいにこき下ろされるレベルのね」

 ……いや本当に、あのボロクソ具合はアッパレだったね。

確かに俺から遠慮のない感想が欲しいと頼んだけれど、まさかあそこまでとは思わなかった。

口頭でそれなりに率直な意見を聞かせてもらえるのかなと予想していた。

だから感想を綴った紙を手渡されたのも予想外だったし、その中身が拾ったノートと同等レベルの赤裸々さだったことにも驚かされた。

 ……あまりの衝撃に、最初一瞬、目が点になったし。

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