訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
07. 転機(Side要)
「なんだか花山先生、今日はご機嫌ですね。もしかして次回作のいいアイディアでも降ってきました?」
担当編集者の坂田さんが久々に俺の自宅兼仕事場を訪ねて来た日。
彼は俺の顔を見るや早々、こんな一言を発した。
特に心当たりがなかった俺は、思わず首をひねる。
だが、デビュー当時からかれこれ7年の付き合いとなる坂田さんの察し力が確かなものだと経験上知っている。
穏やかな雰囲気で人当たりのいい坂田さんは、俺より4つ年上の34歳。
コミュニケーション能力が高く、聞き上手であり、気配り上手な男性だ。
「いや、別にそういった事実はないですけど、そんな風に見えます?」
「付きものが落ちたみたいな、すごく明るい表情されてますよ。今にも鼻唄を口ずさみ始めそうです」
付きものが落ちたみたいと言われて初めて思い当たる節があった。
さすが坂田さんだと改めて感心してしまう。
「よく分かりましたね。次回作のアイディアではないんですけど、実はスランプを脱却できそうな兆しがあって。もしかするとそれで無意識に機嫌が良かったのかもしれません」
担当編集者の坂田さんが久々に俺の自宅兼仕事場を訪ねて来た日。
彼は俺の顔を見るや早々、こんな一言を発した。
特に心当たりがなかった俺は、思わず首をひねる。
だが、デビュー当時からかれこれ7年の付き合いとなる坂田さんの察し力が確かなものだと経験上知っている。
穏やかな雰囲気で人当たりのいい坂田さんは、俺より4つ年上の34歳。
コミュニケーション能力が高く、聞き上手であり、気配り上手な男性だ。
「いや、別にそういった事実はないですけど、そんな風に見えます?」
「付きものが落ちたみたいな、すごく明るい表情されてますよ。今にも鼻唄を口ずさみ始めそうです」
付きものが落ちたみたいと言われて初めて思い当たる節があった。
さすが坂田さんだと改めて感心してしまう。
「よく分かりましたね。次回作のアイディアではないんですけど、実はスランプを脱却できそうな兆しがあって。もしかするとそれで無意識に機嫌が良かったのかもしれません」