訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「物語の舞台として候補が上がってる場所は、実際見た方がいいかもしれないですね。花山先生に物語のイメージを膨らませてもらうためでしたら、いつでも取材セッティングはしますので」

「ありがとうございます。もう少しアイディアを煮詰めて、候補を絞り込んでから坂田さんにお願いさせてもらいますね」

「分かりました。あ、そうそう、大型書店さんからサイン会の打診が来てますけど、どうされますか?」

そろそろ打合せも終わろうかとしていた時、ふと坂田さんが何かを思い出し、最後にこんなことを訊ねられた。

書店側は集客、小説家は認知向上及びファンとの交流というメリットがあるサイン会は、定期的に打診が入る。

普通なら少しは検討するのだろうが、俺の場合は考えるまでもなく答えは決まっていた。


「……申し訳ないですけど、いつも通りお断りの対応でお願いします」

「やっぱり、そうですよね。承知しました。花山先生は表に出るの避けられてますし、その返答だろうなとは予想していました。ただ本当にもったいないと常々思いますよ。これほどルックスの整った小説家っていらっしゃらないですし」

「いや、まぁ、小説に外見は関係ないですから」

「そうは言っても、花山先生が顔出しをされたら間違いなくファンが激増すると思いますよ。今以上に売上も見込めますけど、いかがですか? 良い機会ですし世に登場してみません?」

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