訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「まぁ、デートでラーメン屋も全然オッケーって女性もいるとは思いますけど少数派だと思いますよ。葉山さんは一般論を覚えておいた方がいいと思います! 理解できました?」

「まさかこんなにすぐ指摘が入るとは。すごく勉強になったよ」


私の説明に女心への理解を深めてくれたようだ。

葉山さんは初っ端からのダメ出しに、苦笑いしつつ頷いている。


「それじゃあ仕切り直しで! それでラーメン屋じゃなくって、ランチはどこにしますか?」

「そうだなぁ、じゃあ近くにあるファミレスでどう? テーブル席ばかりだし、長居もできて、ゆっくり話せるしね」

「はいっ!?」

 ……ラーメン屋の次はファミレス!? いやまぁ、確かにさっき指摘したマイナス点を踏まえてリカバリーしてるけどっ!

先程の話をしっかり理解した上での提案ゆえに、ちょっと指摘しづらい。

でも私は恋愛コンサルをお願いされている身なのだから、ハッキリ言わせてもらおう。


「葉山さん、ファミレスもダメです! 初デートには相応しくないです!」

「えっ、なんで? さっきの問題点はクリアしてると思ったんだけど」

「その点は確かにその通りなんですけど……ファミレスだとムードなさすぎです!」

「ムード?」

私はラーメン屋の時と同じように懇切丁寧に再び説明を始める。

気分はまるで見込みはあるけれど残念ミスが多い生徒に指導する教師だ。


< 64 / 204 >

この作品をシェア

pagetop