訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「私狙いかどうかは分からないですけど、皆さんとお話しするのは楽しいです。全然私とは業界も職種も違って興味深いですし!」
「そう言ってニコニコしてるところが男心を掴むんだろうなぁ。まぁ亜湖ちゃんは可愛いし愛嬌あるし褒め上手だし、女の私から見ても納得のモテ女子だけどねぇ~! 今日だって急な誘いにもかかわらずその女子力超高い服装だもんね。ホント凄い! 私も見習わなきゃね!」
そう言って頷くと、気合を入れた様子で円香さんは鏡に向かってメイク直しを始めた。
会話もそこで一区切りとなったため、私は一声掛けてから元いた個室席へと戻る。
そして個室の扉を開けるやいなや、案の定というかなんというか、先ほど私の隣を死守していた菅野さんにまたしても捕まってしまった。
完全にロックオンされている。
肉食動物に狙われた小動物の気分だ。
私の隣の席をずーっとキープし続け、脇目も振らずあの手この手で分かりやすく口説かれ、グイグイ押してくる感じが先ほど以上だった。
結局その状態は、閉店時間になって合コンがお開きになるまでひたすら続いた。
――そんな合コンを終えた夜23時半。
二次会のお誘いを断った私は、その足で最寄駅の近くにある喫茶店『珈琲ろまん』に駆け込んでいた。
深夜2時まで営業しているここは、若者向けのカフェではなく、居心地のよいレトロな老舗喫茶店だ。
「そう言ってニコニコしてるところが男心を掴むんだろうなぁ。まぁ亜湖ちゃんは可愛いし愛嬌あるし褒め上手だし、女の私から見ても納得のモテ女子だけどねぇ~! 今日だって急な誘いにもかかわらずその女子力超高い服装だもんね。ホント凄い! 私も見習わなきゃね!」
そう言って頷くと、気合を入れた様子で円香さんは鏡に向かってメイク直しを始めた。
会話もそこで一区切りとなったため、私は一声掛けてから元いた個室席へと戻る。
そして個室の扉を開けるやいなや、案の定というかなんというか、先ほど私の隣を死守していた菅野さんにまたしても捕まってしまった。
完全にロックオンされている。
肉食動物に狙われた小動物の気分だ。
私の隣の席をずーっとキープし続け、脇目も振らずあの手この手で分かりやすく口説かれ、グイグイ押してくる感じが先ほど以上だった。
結局その状態は、閉店時間になって合コンがお開きになるまでひたすら続いた。
――そんな合コンを終えた夜23時半。
二次会のお誘いを断った私は、その足で最寄駅の近くにある喫茶店『珈琲ろまん』に駆け込んでいた。
深夜2時まで営業しているここは、若者向けのカフェではなく、居心地のよいレトロな老舗喫茶店だ。