訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
葉山さんの過去の話から、話題が結婚に移り変わり、“結婚”というワードに反応して私は無意識に顔を顰めた。

それだけにとどまらず、お酒のチカラもあってか、今まで誰にも話したことのない本音も口走る。

一度口から零れ落ちるともう止まらない。

重ねて問われ、私はこれまで胸の内に秘めてきた思いをぶっちゃける。


「うち、政界では有名な政治家一族なんですよ。父は現職の大臣、祖父は元総理大臣で」

「えっ、それって……もしや来栖さんのお父さんって厚生労働大臣の『来栖克敏(かつとし)』で、お祖父さんは『来栖克茂(かつしげ)』!?」

「そうです、そうです。それでそんな一族だから政略結婚は当たり前なんで、私も遅かれ早かれ最終的にはお見合いして結婚させられると思うんです」

「……俺の周囲にはいないけど、政略結婚って今の時代でも本当にあるんだね」

「実際、私の兄も、姉も政略結婚です。なので私もどうせそうなります」

私には一回り近く歳の離れ兄姉がいて、実は3人兄妹だ。

38歳の兄は父の公設秘書、35歳の姉は専業主婦で、2人とも父と関係の深い家の人と20代前半で政略結婚をしている。


「でもちゃんと自立して稼げる仕事に就いていたら、少しでも結婚を遅らせられるんじゃないかと思ったんです。姉の場合、当時家事手伝いだったらしいですし」

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