お父さんが魔導士だなんて、聞いてない!
 それは私が引きこもりだから?
 そう聞こうと思ったけれど、きっとその言葉もお母さんを傷つけてしまう。私が学校に行けないことでずっと悩んでいるのを知っている。お母さんを悲しませたくなくて、学校に行こうとしたけれど、そのたびに心が悲鳴をあげてしまう。だから行けない。
「ゆのちゃん。男の子にいじめられたとき、教室の窓ガラスがたくさん割れたの、覚えてる?」
 あれがきかっけで学校に行けなくなったのだ。忘れるわけがない。
「うん……」
「あれ、ゆのちゃんがやったのよ?」
「え? 私がやった? 私、何もしてないよ。バッド持って、振り回していないよ?」
「やだ。いつの時代の漫画よ?」
 お母さんはケラケラと笑ったけれど、すぐに真顔になる。
「あのときのことは……お母さんが力を使ってなんとかしたけれど、これから先、ゆのちゃんの力がもっと強くなるかもしれない」
 うん。お母さんが何を言っているのか、さっぱりわからない。
「なんのお話?」
 首を傾げて尋ねると、お母さんも「う~ん」と少し悩んでから答えた。
「ゆのちゃんにはね、魔力があるの」
 まさか、令和にもなった現代日本で、そんなゲームのような言葉を、お母さんが口にするとは思わなかった。
「ゲームの話?」
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