魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
会場の扉を閉めると、冷たい風が頰を撫でた。ステファン様は、私を婚約者ではなく魔力を抑えるための魔力使いとしか見ていなかった。
それでも、ステファン様を支えることが国のためになると信じて、様々な魔力を習得してきた。
「なくなっちゃうのかな……私の魔力……」
私の家、ブランシェール家には『結婚しなければ魔力を失う』という言い伝えがある。婚約を破棄されてしまったから、これまで苦労して習得してきた魔力は消えてしまうかもしれない。
「失いたくない……必死に習得してきたのよ……?」
唇をかみしめてドレスを握りしめると、客人たちの声が聞こえてきて、慌てて柱の陰に隠れた。
「殿下の魔力はどうなるんだ?」
「セレーヌ様でなければ抑えられないんだよな?城の魔力使いができると思うか?」
ステファン様の魔力を抑えることができるのは私だけ。魔力使いの筆頭として城に仕える父でもステファン様の魔力を完全に封じることは難しいと言っていた。
『魔力には相性がある。ステファン様の魔力を抑えるにはお前の魔力が合うようだ。』
父に言われた時は嬉しかった。私だけにしかできない役割がある。そう思っていたけれど、それももう終わりだ。
「あんな魔力は城の魔力使いじゃ無理だろ。陛下がやるんじゃないか?」
「もしくは、ヴァルドラードの皇帝に頼むか?」
「ははは!それはいい。そっちの方が確実だ。」
(ヴァルドラードの皇帝……)
隣国のヴァルドラードは、国境に結界が張られている閉ざされた国。唯一知られていることは、皇帝陛下が全ての魔力を使えるということや、皇帝は魔力を補充するために人間を喰らうという真偽不明な噂だけ。
(皇帝陛下なら、魔力が消えても戻せるかな……)
人目を避けて廊下を進んでいくと庭園に出た。お城の庭園にはいつもたくさんの花が咲いている。ステファン様と出会った日も、花が風に揺れる暖かな日だった。
それでも、ステファン様を支えることが国のためになると信じて、様々な魔力を習得してきた。
「なくなっちゃうのかな……私の魔力……」
私の家、ブランシェール家には『結婚しなければ魔力を失う』という言い伝えがある。婚約を破棄されてしまったから、これまで苦労して習得してきた魔力は消えてしまうかもしれない。
「失いたくない……必死に習得してきたのよ……?」
唇をかみしめてドレスを握りしめると、客人たちの声が聞こえてきて、慌てて柱の陰に隠れた。
「殿下の魔力はどうなるんだ?」
「セレーヌ様でなければ抑えられないんだよな?城の魔力使いができると思うか?」
ステファン様の魔力を抑えることができるのは私だけ。魔力使いの筆頭として城に仕える父でもステファン様の魔力を完全に封じることは難しいと言っていた。
『魔力には相性がある。ステファン様の魔力を抑えるにはお前の魔力が合うようだ。』
父に言われた時は嬉しかった。私だけにしかできない役割がある。そう思っていたけれど、それももう終わりだ。
「あんな魔力は城の魔力使いじゃ無理だろ。陛下がやるんじゃないか?」
「もしくは、ヴァルドラードの皇帝に頼むか?」
「ははは!それはいい。そっちの方が確実だ。」
(ヴァルドラードの皇帝……)
隣国のヴァルドラードは、国境に結界が張られている閉ざされた国。唯一知られていることは、皇帝陛下が全ての魔力を使えるということや、皇帝は魔力を補充するために人間を喰らうという真偽不明な噂だけ。
(皇帝陛下なら、魔力が消えても戻せるかな……)
人目を避けて廊下を進んでいくと庭園に出た。お城の庭園にはいつもたくさんの花が咲いている。ステファン様と出会った日も、花が風に揺れる暖かな日だった。