溺れるほど甘い、でも狂った溺愛


「……っ!」


わたしは思わず手を伸ばす。


「そ、それ……!」

「……僕の描いた、ポスターですよね」


声は静かだった。けれど、そこに隠せない熱があった。


「違うんです、ただ……見てると元気になれて……お守りみたいな感じでそこに入れていたんです」


うまく言葉が出てこない。

胸の奥で何かが暴れるように脈打っていた。


煌はしばらく黙ったまま、ケースの中の絵を見つめていた。

そして、ゆっくりと息を吐く。


「……そんなふうに、大事にしてくれてたんですね」


その声には、驚きよりも――静かな喜びが滲んでいた。


「僕の絵を持ち歩いてくれるなんて、それだけで、描いてきた意味があった気がします」

「そんな、大げさな……」

「大げさじゃありません」


煌はスマホをそっと返し、微笑んだ。


「嬉しいです。……本当に」


その言葉が、胸の奥に深く響く。

恥ずかしいのに、涙が出そうになるほど温かかった。

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