溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
会場を出ると、夜風が頬を撫でた。
煌が後ろから声をかける。
「明日、きっと大丈夫です。――信じて」
その声が、胸の奥に灯りをともす。
振り返ったとき、彼の姿は作業灯の下にいて、その光の中で、少しだけ切なそうに微笑んでいた。
(……明日、何が起こるんだろう)
その夜、眠る前。
スマートフォンの後ろのポスターを見つめながら、わたしはそっと呟いた。
「――明日も、ちゃんと成功させられますように」
そう願いながら閉じた瞼の裏で、作業灯の下に立つ煌の姿が、まだ消えなかった。