溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
『今回、装画を手掛けたのは若手画家・神城煌。独特の光と空気感で注目を集める彼の作品は――』
ナレーションの後、映像が切り替わった。
インタビュー映像だった。
スーツを着た煌が、穏やかな笑みを浮かべている。
画面越しなのに、あの優しい声の響き方まで思い出せた。
「最近は、以前よりも“描くこと”が楽しいんです」
記者が問いかける。
「きっかけは何かあったんですか?」
一瞬だけ、煌が少しだけ目を伏せた。
そして、ゆっくりと微笑む。
「ある人と出会って……その人が、僕に“もう一度、光を描かせてくれた”気がするんです」
「その方とは?」
「……とても大切な人です」
その言葉が、画面の中から真白の胸の奥へまっすぐ届いた。
(……わたしのこと、かな)
そんなことを思う自分に、頬が少し熱くなる。
テレビの音を小さくして、静かな部屋に息を吸い込む。
胸の奥の不安が、少しずつ形を変えていくのがわかる。