溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
この店で過ごした時間。
ここで出会った人たち。
支えてくれたご夫婦。
――そして、煌。
全てが自分の中に根を張っている。
「……少し、考えてもいいですか?」
わたしがそう言うと、ご主人は頷いた。
「もちろんだ。焦ることはない。でも、どんな答えを出しても、俺たちは真白ちゃんの味方だからな」
「……ありがとうございます」
ご主人が厨房を離れたあと、わたしはショーケースの前に立ち尽くした。
透明なガラス越しに、自分が作ったケーキたちが並んでいる。
どれも小さく、ささやかだけど――ひとつひとつに、自分の想いが詰まっていた。
(……どうすればいいんだろう)
静かな厨房の中で、オーブンのタイマー音だけが小さく響いていた。
すると――
「そうそう、真白ちゃん。例の“スイーツ好きが歌”さんは最近つぶやいてないの?」