溺れるほど甘い、でも狂った溺愛


その声が聞こえて、思わず手を止めそうになる。


(……顔に出てるんだ)


耳まで熱くなりながら、クリームを混ぜ続けた。



閉店後。

看板を裏返し、レジを閉めていると、外に見慣れた姿が見えた。


「……やっぱり来た」


ガラス越しに微笑む煌。

店の前で軽く手を振る姿が、まるで待ち合わせの恋人みたいで、胸が少しくすぐったくなる。


ドアを開けると、煌が軽く首を傾げて言った。


「お疲れさま。今日も頑張ったね」

「ありがとう。ちょっと待っててね、片づけ終わらせるから」


厨房の奥で、わたしはエプロンの紐をほどいた。

ふと振り返ると、煌がカウンターの隙間からじっとこちらを見ている。


「……そんなに見てどうするの?」

「見てるだけで癒されるから」

「……もう」


思わず笑ってしまう。

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