溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
「……ごめんなさい。変なこと言いましたね」
「いえ……」
神城さんはゆっくりと息を吐いて、テーブルの上に手を置いた。
「真白さん。あなたの作るものって、やさしいけど、危ないですね」
「え……?」
「口に入れた瞬間、世界が少し変わる。だから、誰かに食べさせるのが怖いんです。あなたの味を知る人が増えるたびに、“僕だけのものじゃなくなる”気がして」
声は穏やかだった。
けれど、その言葉には確かに熱があった。
胸の奥が、痛いように脈打つ。
「……そんなふうに言われても、困ります」
「ええ、わかってます」
笑って言いながら、神城さんは目を伏せた。
その指が、テーブルの縁をなぞる。
「でも、もう少しだけ一緒にいませんか?あなたが帰るって思うと、胸の中がざわつくんです」
小さく、静かな告白のようだった。
「……神城さん」
「帰したくないなんて言ったら、嫌われますね」
「……少し、困ります」