溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
(……また作りたい)
ふと、そんな言葉が浮かんで、胸がきゅっと締めつけられる。
その気持ちは“仕事”でも“過去の延長”でもなくて――
もっと個人的な、どうしようもない衝動だった。
窓の外で、風がゆっくりと木々を揺らす。
夜の静けさが、少しだけ冷たい。
(どうして、あんなふうに言われて……困るのに、温かいんだろう)
答えは出ない。
けれど、目を閉じても、神城さんの声が消えなかった。
――“やさしいけど、危ない味”。
まるでそれが、今のわたし自身のことみたいに思えた。