乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
7周目の好感度アップイベントにて
7周目 好感度アップイベント
いつも通り、聖女覚醒イベント兼、好感度アップイベントがやってきた。いつもどおり、私はワイバーンの凶刃からカナエを守り、彼女の代わりに負傷をする。つまり、相も変わらずカナエは私のルートでのエンドを目指して爆走しているのだ。
倒れ伏した私を抱え、祈りながら、カナエは涙をこぼす。
どうして彼女は、毎度こんなに辛そうな顔をするのだろう。まるで自分が傷ついたかのような、痛みをこらえるような顔。
これはお決まりの確定イベントだ。怪我の程度は決まりきっているし、死ぬこともなければ彼女の祈りによって傷が残ることもない。
何周も繰り返して、何度もこのイベントを繰り返している筈なのに、彼女は必ずいつも心底辛そうに泣く。
ぽろぽろとこぼれる涙を指ですくって、頬を撫でた。
「泣くことはないよ。君が、癒してくれるから、私は大丈夫さ」
「それでもだめなの」
「私の怪我は何度だって、見ただろう? それに私はカナエを守るための盾だよ。怪我なんてどうってことないさ」
別に、こんなことを言わなくてもストーリーは進む。けれど聞いた所で、ストーリーに恐らく影響はない。
「何でそんな事を言うの? 何度だって、だめ! 怪我は嫌……アーネスト様が傷つくのは、嫌なの」
私は一瞬、言葉に詰まった。まるで、私が人間であるかのように、彼女は接する。ゲームでないかのように。
「そうなんだね……」
それ以上の言葉が見つからなくて、私はただ、カナエの頬を撫でた。もう怪我は癒されているが、彼女が落ち着くまで待つ。
「……取り乱してごめんなさい。怪我治りましたね。立てそうですか? アーネスト様」
いつも通り、聖女覚醒イベント兼、好感度アップイベントがやってきた。いつもどおり、私はワイバーンの凶刃からカナエを守り、彼女の代わりに負傷をする。つまり、相も変わらずカナエは私のルートでのエンドを目指して爆走しているのだ。
倒れ伏した私を抱え、祈りながら、カナエは涙をこぼす。
どうして彼女は、毎度こんなに辛そうな顔をするのだろう。まるで自分が傷ついたかのような、痛みをこらえるような顔。
これはお決まりの確定イベントだ。怪我の程度は決まりきっているし、死ぬこともなければ彼女の祈りによって傷が残ることもない。
何周も繰り返して、何度もこのイベントを繰り返している筈なのに、彼女は必ずいつも心底辛そうに泣く。
ぽろぽろとこぼれる涙を指ですくって、頬を撫でた。
「泣くことはないよ。君が、癒してくれるから、私は大丈夫さ」
「それでもだめなの」
「私の怪我は何度だって、見ただろう? それに私はカナエを守るための盾だよ。怪我なんてどうってことないさ」
別に、こんなことを言わなくてもストーリーは進む。けれど聞いた所で、ストーリーに恐らく影響はない。
「何でそんな事を言うの? 何度だって、だめ! 怪我は嫌……アーネスト様が傷つくのは、嫌なの」
私は一瞬、言葉に詰まった。まるで、私が人間であるかのように、彼女は接する。ゲームでないかのように。
「そうなんだね……」
それ以上の言葉が見つからなくて、私はただ、カナエの頬を撫でた。もう怪我は癒されているが、彼女が落ち着くまで待つ。
「……取り乱してごめんなさい。怪我治りましたね。立てそうですか? アーネスト様」