乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
「……カナエ」
「えっ」
目線は街に向けたまま、そっと彼女の肩を抱き寄せた。カナエは顔を真っ赤にして居心地悪そうにモゾモゾと動いているが、それでも腕から逃げようとはしない。
あれだけ頻繁に私のことを好きと言ってきていても、カナエが私からのスキンシップを許してくれるのは、聖女覚醒イベントとプロポーズのルート分岐イベントだけだ。それが面白くて、ストーリーに反しない程度にスキンシップを増やしたりもしてはいるのだが、今のように逃げずにいるのは珍しい。その事実がなんだか気分が良い。
ストーリーの中では、今のシーンはまだ序盤と言っていい。周回による引継ぎで好感度が高いとは言っても、攻略キャラクターはヒロインに対する明確な恋愛感情と断定はできない段階だ。だから、今みたいに肩を引き寄せるのは、ストーリー上おかしいのかもしれない。それでも。
「ここで君に会えるのは、嬉しいよ」
私が彼女の頭にもたれかかると、びくりと揺れたものの、それでも彼女は逃げないでいてくれる。
「……そっか」
小さく呟くと、彼女もぎこちなく私にもたれかかった。
「えっ」
目線は街に向けたまま、そっと彼女の肩を抱き寄せた。カナエは顔を真っ赤にして居心地悪そうにモゾモゾと動いているが、それでも腕から逃げようとはしない。
あれだけ頻繁に私のことを好きと言ってきていても、カナエが私からのスキンシップを許してくれるのは、聖女覚醒イベントとプロポーズのルート分岐イベントだけだ。それが面白くて、ストーリーに反しない程度にスキンシップを増やしたりもしてはいるのだが、今のように逃げずにいるのは珍しい。その事実がなんだか気分が良い。
ストーリーの中では、今のシーンはまだ序盤と言っていい。周回による引継ぎで好感度が高いとは言っても、攻略キャラクターはヒロインに対する明確な恋愛感情と断定はできない段階だ。だから、今みたいに肩を引き寄せるのは、ストーリー上おかしいのかもしれない。それでも。
「ここで君に会えるのは、嬉しいよ」
私が彼女の頭にもたれかかると、びくりと揺れたものの、それでも彼女は逃げないでいてくれる。
「……そっか」
小さく呟くと、彼女もぎこちなく私にもたれかかった。