乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
私の魔力属性は、時を操るものだったらしい。
それに気付いて嬉しかった。時を戻せば、彼女は生き返る。魔王も復活するだろうが、今度は彼女を守り切ればいい。
願いは簡単に時間操作の魔法として発動してくれた。時の流れを逆巻いて、私は世界を魔王討伐直前まで戻すことに成功したのだ。
けれど、彼女は死んだ。
私の腕は今一歩、彼女の身体に届かなかった。
だから、また時を巻き戻した。それでも、彼女は死んだ。
巻き戻す時間を長くした。鍛錬が足りなかったから、きっと彼女を死なせてしまったんだろう。死に物狂いでモンスターを倒した。それでも、彼女は死んだ。
繰り返し繰り返し、何度巻き戻しても、巻き戻す時間を変えても、彼女は死に続けた。
私に、彼女は救えなかった。
ならば、私以外の人間ならどうだろう。カイルならあるいは、彼女を救えるだろうか。彼女が恋したのが、他の男なら。彼女にプロポーズして、守る誓いを立てたのが別の人間なら。あるいは、仲間全員で彼女を守れたなら。
ありとあらゆる可能性を考え、ただ彼女の生存の可能性を模索し続けた。
そうやって数えきれない試行を繰り返すうちに、私は狂ってしまっていたのだろう。
『聖女が彼女じゃなければ、聖女を守れただろうか』
そんな意味のない試行にまで、手を伸ばそうと考えていた。
そうして私は自身の魔法を行使し続け、一番最後に彼女の死を見届けた後、世界を作り変えてしまった。
私たちが辿った旅の過程をなぞりながら、召喚された『聖女』が旅の仲間の誰かと恋に落ち、魔王を討伐し、『聖女』と守りぬくゲームに。
異世界から新しい聖女を召喚しては、同じ旅を繰り返した。魔王は倒せるようになったが、召喚した『聖女』は、彼女ではない。それを頭のどこかで判っていたのだろう。何周か同じ聖女の時間を巻き戻させては、違う聖女を召喚し続けた。
そうして繰り返すうちにこの世界が彼女の言っていた『乙女ゲーム』の世界なのだと思うようになった。
それに気付いて嬉しかった。時を戻せば、彼女は生き返る。魔王も復活するだろうが、今度は彼女を守り切ればいい。
願いは簡単に時間操作の魔法として発動してくれた。時の流れを逆巻いて、私は世界を魔王討伐直前まで戻すことに成功したのだ。
けれど、彼女は死んだ。
私の腕は今一歩、彼女の身体に届かなかった。
だから、また時を巻き戻した。それでも、彼女は死んだ。
巻き戻す時間を長くした。鍛錬が足りなかったから、きっと彼女を死なせてしまったんだろう。死に物狂いでモンスターを倒した。それでも、彼女は死んだ。
繰り返し繰り返し、何度巻き戻しても、巻き戻す時間を変えても、彼女は死に続けた。
私に、彼女は救えなかった。
ならば、私以外の人間ならどうだろう。カイルならあるいは、彼女を救えるだろうか。彼女が恋したのが、他の男なら。彼女にプロポーズして、守る誓いを立てたのが別の人間なら。あるいは、仲間全員で彼女を守れたなら。
ありとあらゆる可能性を考え、ただ彼女の生存の可能性を模索し続けた。
そうやって数えきれない試行を繰り返すうちに、私は狂ってしまっていたのだろう。
『聖女が彼女じゃなければ、聖女を守れただろうか』
そんな意味のない試行にまで、手を伸ばそうと考えていた。
そうして私は自身の魔法を行使し続け、一番最後に彼女の死を見届けた後、世界を作り変えてしまった。
私たちが辿った旅の過程をなぞりながら、召喚された『聖女』が旅の仲間の誰かと恋に落ち、魔王を討伐し、『聖女』と守りぬくゲームに。
異世界から新しい聖女を召喚しては、同じ旅を繰り返した。魔王は倒せるようになったが、召喚した『聖女』は、彼女ではない。それを頭のどこかで判っていたのだろう。何周か同じ聖女の時間を巻き戻させては、違う聖女を召喚し続けた。
そうして繰り返すうちにこの世界が彼女の言っていた『乙女ゲーム』の世界なのだと思うようになった。