乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
1周目 初めての好感度アップイベント
1周目 1周目 好感度アップイベント
「アーネスト様、大丈夫ですか?」
モンスターを切り伏せた戦闘の後、カナエが私の顔を覗き込んだ。
「ありがとう、カナエは優しいね」
微笑み返して、私はカナエの頬を撫でる。
「ヒエエエ、別に優しいとかじゃないですから! ファンサがやばい!」
カナエは赤面して飛び跳ね、私の手から離れてしまった。彼女はいちいちこのようにゲームシステムにない奇怪な動きをする。ゲームに即したシーンや落ち着いている時は丁寧語も話すが、そうではない時が多いのは、くだけた口調の方が彼女の素だからなのだろう。
「カナエ様はほーんと、ミヒャエル様のことが大好きだよねえ」
そう軽口を叩いたのは、パーティーメンバーのカイルだ。隣国ホルストの第三王子で、魔王討伐のために、アーネスト国に逗留している。私が正統派ヒーローの役どころなら、彼はいわばチャラ男ポジションの攻略キャラクターだ。言動が軽くすぐに口説くような素振りを見せる割には、聖女であるカナエに敬称をつけ、常にヒロインと一線を引いているという訳ありなところを見せる。
「何言ってんの違うよ!」
「本当のことじゃん?」
「全然違う! 私は! アーネスト様の事が! 大大大大大だ~~い好きなの!」
ふふん、と誇らしげに胸を張るカナエ。
「あ~なるほどね、ゴメンゴメン」
呆れまじリの適当な相槌を打って、カイルは「それにしたって…」とこちらに目線を送る。
「大大だ~い好きなのに、触られるのは嫌なの?」
先ほど私が触ったのから逃げたのを言っているのだろう。カイルが指摘すると、彼女はカッと顔を赤らめた。
「そそそそそんな刺激が強すぎてっ無理じゃん!? カイルだって、そうでしょ、好きな子から触られたら緊張しちゃうし、ちょっと毛穴開いてないかな、今私不細工な顔してないか、大丈夫かなとか心配になったりするじゃん!?」
ブンブンと手を振り回しながらのカナエの弁明を聞きながら、私はただ微笑を浮かべて彼女を見守る。正統派ヒーローは、少しばかりヒロインに素っ頓狂な一面があっても、からかったりはしない。そういうのはカイルの役目だ。
私に話すのとは違って、カナエは打ち解けたようにくだけた口調でカイルと話している。和やかなムードではあるが、次のストーリー回収に向け、そろそろ動かねばならない。
「アーネスト様、大丈夫ですか?」
モンスターを切り伏せた戦闘の後、カナエが私の顔を覗き込んだ。
「ありがとう、カナエは優しいね」
微笑み返して、私はカナエの頬を撫でる。
「ヒエエエ、別に優しいとかじゃないですから! ファンサがやばい!」
カナエは赤面して飛び跳ね、私の手から離れてしまった。彼女はいちいちこのようにゲームシステムにない奇怪な動きをする。ゲームに即したシーンや落ち着いている時は丁寧語も話すが、そうではない時が多いのは、くだけた口調の方が彼女の素だからなのだろう。
「カナエ様はほーんと、ミヒャエル様のことが大好きだよねえ」
そう軽口を叩いたのは、パーティーメンバーのカイルだ。隣国ホルストの第三王子で、魔王討伐のために、アーネスト国に逗留している。私が正統派ヒーローの役どころなら、彼はいわばチャラ男ポジションの攻略キャラクターだ。言動が軽くすぐに口説くような素振りを見せる割には、聖女であるカナエに敬称をつけ、常にヒロインと一線を引いているという訳ありなところを見せる。
「何言ってんの違うよ!」
「本当のことじゃん?」
「全然違う! 私は! アーネスト様の事が! 大大大大大だ~~い好きなの!」
ふふん、と誇らしげに胸を張るカナエ。
「あ~なるほどね、ゴメンゴメン」
呆れまじリの適当な相槌を打って、カイルは「それにしたって…」とこちらに目線を送る。
「大大だ~い好きなのに、触られるのは嫌なの?」
先ほど私が触ったのから逃げたのを言っているのだろう。カイルが指摘すると、彼女はカッと顔を赤らめた。
「そそそそそんな刺激が強すぎてっ無理じゃん!? カイルだって、そうでしょ、好きな子から触られたら緊張しちゃうし、ちょっと毛穴開いてないかな、今私不細工な顔してないか、大丈夫かなとか心配になったりするじゃん!?」
ブンブンと手を振り回しながらのカナエの弁明を聞きながら、私はただ微笑を浮かべて彼女を見守る。正統派ヒーローは、少しばかりヒロインに素っ頓狂な一面があっても、からかったりはしない。そういうのはカイルの役目だ。
私に話すのとは違って、カナエは打ち解けたようにくだけた口調でカイルと話している。和やかなムードではあるが、次のストーリー回収に向け、そろそろ動かねばならない。