乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
ゲームの終演
ゲームの終焉
パキパキと音を立てて、何かが壊れていく。私は何も見えない闇の中に、ゆらゆらと漂っているようだった。
やっと、この世界がゲームになる前の記憶を思い出した。我ながら愚かなものだと乾いた笑いが漏れてしまう。ただ彼女を救いたかった筈で、彼女が世界にいないのなら意味がないのに、なぜ乙女ゲームの世界になど作り変えてしまったのだろう。
闇の中には他の人間はおらず、周りに何があるのかさえ判らない。これは彼女を忘れ、事実から目を反らし逃げた私への報いなのだろうか。ここで、一人死んでいくのかもしれない。
恐らく、先ほどから音を立てて壊れていっているのは、私の魔力で編み上げたゲームのシステムなのだろう。
今私の身体には、魔力が一切感じられなかった。何十年、何百年分の時を繰り返し逆巻いて、世界を作り変える程の魔法を行使し続けて、ようやく使い切ったらしい。逆に私の魔力が今まで枯渇することなく『ゲームの世界』を保ち続けられたことの方が、奇跡に等しい。
しかしそれももう終わりだ。
丁度魔王を倒し、エンディングを迎えた所だから、ゲームが終わってしまっても問題はない。私が死ぬことで、迷惑は掛かるかもしれないが、仕方なかろう。魔王のいない世界ならば、歩むことはできよう。
ああ。私の魔力がないから、あの子を元の世界に返してやるのが難しいな。あの子は……何故だろう、名前が思い出せない。10周も一緒にいたというのに。
各国の神官が協力して、彼女を国に返してやれるといいのだが。
ゲームのキャラクターとして動き出して以降、私には恋愛感情というものはなかったと思う。ただ、試行を繰り返していただけだ。
だと言うのに、彼女には強く惹かれた。ゲームのシステムに従わない彼女だから、一人の人間として接することができたのかもしれない。今思えば、彼女が最初に召喚された時から、私の作ったゲームの世界は魔力の減少によってほころびはじめていたのだろう。
あるいは、彼女に惹かれることで崩されたのか。
いずれにせよ、もう全てが終わりだ。彼女に会う事も。
パキパキと音を立てて、何かが壊れていく。私は何も見えない闇の中に、ゆらゆらと漂っているようだった。
やっと、この世界がゲームになる前の記憶を思い出した。我ながら愚かなものだと乾いた笑いが漏れてしまう。ただ彼女を救いたかった筈で、彼女が世界にいないのなら意味がないのに、なぜ乙女ゲームの世界になど作り変えてしまったのだろう。
闇の中には他の人間はおらず、周りに何があるのかさえ判らない。これは彼女を忘れ、事実から目を反らし逃げた私への報いなのだろうか。ここで、一人死んでいくのかもしれない。
恐らく、先ほどから音を立てて壊れていっているのは、私の魔力で編み上げたゲームのシステムなのだろう。
今私の身体には、魔力が一切感じられなかった。何十年、何百年分の時を繰り返し逆巻いて、世界を作り変える程の魔法を行使し続けて、ようやく使い切ったらしい。逆に私の魔力が今まで枯渇することなく『ゲームの世界』を保ち続けられたことの方が、奇跡に等しい。
しかしそれももう終わりだ。
丁度魔王を倒し、エンディングを迎えた所だから、ゲームが終わってしまっても問題はない。私が死ぬことで、迷惑は掛かるかもしれないが、仕方なかろう。魔王のいない世界ならば、歩むことはできよう。
ああ。私の魔力がないから、あの子を元の世界に返してやるのが難しいな。あの子は……何故だろう、名前が思い出せない。10周も一緒にいたというのに。
各国の神官が協力して、彼女を国に返してやれるといいのだが。
ゲームのキャラクターとして動き出して以降、私には恋愛感情というものはなかったと思う。ただ、試行を繰り返していただけだ。
だと言うのに、彼女には強く惹かれた。ゲームのシステムに従わない彼女だから、一人の人間として接することができたのかもしれない。今思えば、彼女が最初に召喚された時から、私の作ったゲームの世界は魔力の減少によってほころびはじめていたのだろう。
あるいは、彼女に惹かれることで崩されたのか。
いずれにせよ、もう全てが終わりだ。彼女に会う事も。