乙女ゲームのメインヒーロー、なぜかヒロインから溺愛周回攻略されてます
アレンの悪態とも取れる言葉に、聖女は頬を赤らめた。整った顔が不機嫌そうな顔をすると、それだけで迫力が凄いが、それよりもアレンが聖女の身を案じてくれたことの方が、彼女には嬉しかった。
「それよりいつまでそこ座ってんの。いい加減立ったら?」
アレンが聖女に手を差し伸べるために屈んだ腰から、さらりと銀の髪が流れ落ちる。口は悪いのに、見た目は極上だ。
「いやっいいよ、ごめん、ありがと!」
腕をブンブン振りながら、聖女は自分で立ち上がり、アレンに背を向けた。後ろから覗いた聖女の耳が、赤い。
「……なにあんた、照れてんの?」
ぐい、と腕を引っ張ってアレンが聖女を振り向かせると、思いのほか顔が近づいてしまった。
「ヒェッ」
聖女はとっさに逃げようとしたが、アレンが腕を掴んでいて逃げられない。それどころか、聖女の顎に空いた手を添えてアレンの方を向くように顔を固定する。
「照れてるというか……いつものアレンじゃなくて、戸惑うというか……」
聖女は顔を真っ赤にしたまま目を泳がせる。
「ふうん? でもこっちが僕の素顔なんだよね、残念だけど」
「えっ!? 残念ではないよ!」
「じゃあ好きなんだ?」
「ヘァッ!?」
目を白黒させて奇声をあげるのを観察して、アレンは不敵に笑う。アレンが触れる聖女の顎は指先でも判るほどに熱い。
「殿下やカイル様の顔は平気なんでしょ? 僕の顔はダメ?」
「そうじゃなくて、アレンだからかっこよすぎて困るというか元の顔の方がいいというかああああ私何言ってるの」
聖女は目をさまよわせて、カイルに目線で助けを求めたが、カイルは笑ってことの成り行きを楽しんでるようだった。
「今の顔が、『元の顔』だよ」
アレンにとって、そこらの女が自分の顔に赤面するのは毛ほどの興味も沸かない。しかし、聖女がアレンに対して『男』を意識した顔をするのは、愉快だった。その感情の意味に、アレンはうすうす気付いているが、今はまだ、言いはしない。
「ほら、良く見て。この先ずっと見る顔だから慣れてもらわないとね」
「ち、近い、顔が近い!」
「それよりいつまでそこ座ってんの。いい加減立ったら?」
アレンが聖女に手を差し伸べるために屈んだ腰から、さらりと銀の髪が流れ落ちる。口は悪いのに、見た目は極上だ。
「いやっいいよ、ごめん、ありがと!」
腕をブンブン振りながら、聖女は自分で立ち上がり、アレンに背を向けた。後ろから覗いた聖女の耳が、赤い。
「……なにあんた、照れてんの?」
ぐい、と腕を引っ張ってアレンが聖女を振り向かせると、思いのほか顔が近づいてしまった。
「ヒェッ」
聖女はとっさに逃げようとしたが、アレンが腕を掴んでいて逃げられない。それどころか、聖女の顎に空いた手を添えてアレンの方を向くように顔を固定する。
「照れてるというか……いつものアレンじゃなくて、戸惑うというか……」
聖女は顔を真っ赤にしたまま目を泳がせる。
「ふうん? でもこっちが僕の素顔なんだよね、残念だけど」
「えっ!? 残念ではないよ!」
「じゃあ好きなんだ?」
「ヘァッ!?」
目を白黒させて奇声をあげるのを観察して、アレンは不敵に笑う。アレンが触れる聖女の顎は指先でも判るほどに熱い。
「殿下やカイル様の顔は平気なんでしょ? 僕の顔はダメ?」
「そうじゃなくて、アレンだからかっこよすぎて困るというか元の顔の方がいいというかああああ私何言ってるの」
聖女は目をさまよわせて、カイルに目線で助けを求めたが、カイルは笑ってことの成り行きを楽しんでるようだった。
「今の顔が、『元の顔』だよ」
アレンにとって、そこらの女が自分の顔に赤面するのは毛ほどの興味も沸かない。しかし、聖女がアレンに対して『男』を意識した顔をするのは、愉快だった。その感情の意味に、アレンはうすうす気付いているが、今はまだ、言いはしない。
「ほら、良く見て。この先ずっと見る顔だから慣れてもらわないとね」
「ち、近い、顔が近い!」