【十六夜月のラブレター another side】イケメンエリート営業部員入谷柊哉くんは拗らせすぎてる
「なんでも入谷君は最年少課長昇進の打診を蹴って、こっちの東京支社に自ら異動願い出してきたんだって?」

「ええ、まあ」

「それなら私も来年の定年まで課長の座を奪われないように頑張らないとなあ。はっはっはっ」

自虐的に笑う課長を尻目にちらちらと俺を見ている女子社員たちの間を縫って彼女の姿を探したが、彼女はいなかった。

ちゃんと同じ課に異動しているはずだけど……。

「あ、やっと来た深沢さん。彼女はいつも来るのが一番遅いんですよ」

課長の視線の先には、待ち侘びた彼女がいた。

頭の中の曖昧な記憶ではなく本物の彼女が!

「これで全員揃いましたね。では早速紹介しましょう。」

課長がフロアの皆に俺を紹介してくれる。

「えー、皆さんおはようございます。こちら、今日から大阪本社から我が東京支社営業2課に異動してきた入谷君です。入谷君は大阪本社で2年連続で営業成績トップの大人材です。皆さん仲良くやっていきましょう」

「入谷柊哉です。入社7年目の28歳です。よろしくお願いします」
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