メリーでハッピーなトゥルーエンドを
(……彼らと協力するのは、そういう意味でも無理そう)
ひとつの砂時計に5回までしか巻き戻せないという制限があったとしても、彼らの持つ砂時計と合わせれば単純に回数が2倍に増える。
だけど、だめだ。
それぞれが異なる時間軸を動かす装置なら。
そううまい話はないらしい。
「難しいけど、何となく分かったよ。僕としてはきみを信じるしかない。契約したことだし」
「つーか、俺をあてにするしかねぇよな。うまく言ったもんだぜ。まあいい、すべてはうまい魂をいただくためだ。安心しろよ、悪いようにはしねぇから」
それもまた信じるしかない。
正直、いまの僕ではどうにもならないことが多すぎる。
これが僕のタイムリープじゃないのなら、いったい誰が繰り返しているのか。
何のために“今日”をやり直しているのか。
(柊先輩なのか……?)
以前の僕みたいに、あの子を救うために運命に抗っているのだろう。
砂時計を持っているならそう考えるのが妥当だ。
(それは……理解はできるけど、納得できるはずない)
救いようのない“今日”を抜け出したい。
タイムリープを終わらせたい。
それでも、花菜を差し出すわけにはいかない。
「砂時計のことだけど、きみのものと天使のものとでは何がちがう? 向こうにも5回って制限はあるの?」
「んー、イエスかノーかで言えば答えはイエスだな」
だったら、僕も覚悟を決めるしかない。
彼らの選択を否定し続ける役目を負えば、本当の意味で花菜を救うことができるかも。
彼女が生きている明日を迎えられるかもしれない。
「……あの子が死んで、花菜は生きる。それが本来の運命なんだよね」
「ああ、その通り。タイムリープが始まる前の正しいシナリオだ」
その言葉を聞き、僕は深く息をついた。
未練から来る迷いや良心から来る躊躇をすべて吐き出すように。
「……分かった」
短く答えると、閉じていた目を開ける。
そよぐ冷えた風を受けながら校舎の方へ歩き出した。
「おい、イクミ? どうするんだ?」
「……殺す。僕がこの手で、あの子を」