皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
「面白くないですか?」
「面白いよ。ほせら、また連れた。居はあたりが多い日みたいだな」

 言いながら彼が釣り竿を持ち上げると、となんと大きな魚が池から姿を表した。

 侍従が「わーっ」と言いながら魚の確保に入る。

「こんなに大きいのに、よく平然と持ち上げられましたね! すごいです!」
「君とは身体の大きさも違うからな」

 今日はなぜ、こんなにもひねくれた言い方をするのだろう。

(褒めたのにな)

 彼とは魚の大きさも競ったものだが、今日はこれがしたい気分ではなかったのだろうか。

「てっきり考えが煮詰まったので、気分転換がしたいのだと思っていました」
「考えが煮詰まる……?」
「あ、それともゆっくり読書がしたかったですか?」
「別にそういう気分でもないな」
「アザモアのシリーズ最新刊が数冊出ていますよ。ご存じですか?」
「なんだと?」
「私も忙しさのあまりうっかりしていました。兄が私が来るのを聞いて、購入してくれたんです。読破しました」
「待て、感想会をしないというのは俺たちの仲ではありえない。早速読もう。夜には感想会だ、いいな?」
「分かりました。それじゃあ戻りましょうか」

 そんな二人の様子を見て、アルフレッドの侍従と護衛たちが「どうして離縁したんだ……?」と首を捻っていた。

 セレスティーヌに同行しているヴィジスタイン公爵家の者たちも「離縁の案はなくなると思っていた」と言葉をかわすが、お気に入りのシリーズについて語り合うセレスティーヌとアルフレッドの耳には届いていなかった。

 ◇∞◇∞◇
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