Jour de neige ある雪の日の思い出
幸せそうな人々で溢れる街を抜け、私は家路を急いだ。

ずっと好きだった人と、めでたく結婚して初めて迎えるクリスマス。

他の人から見たら、私だって数多の幸せそうな人々の内の一人なのだろう。

夫は、出逢った頃から優しかった。

しかし、私がどれほどアタックしても、彼はまさに難攻不落。

「君みたいに若くて可愛い子に、僕は相応しくない」

「いつか、夢からさめたように悔やむ時が来る」

「僕なんかのために、貴重な青春を無駄にしたらダメだよ」

いっそ、思い切り突き放してくれたらいいのに、そんな風に振られると、ますます諦めがつかなくなる。

優しい人だから、そんな断り方しか出来なかったのだろう。

かなりしつこい私でも、10回目の告白で断られたら、今度こそ諦めようと思った。

これだけ告白してもフラれ続けるというのは、やはり、どうしても私のことは受け入れられないということだろうから⋯⋯。
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