明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
そう言って笑ったお姉様は、どこか旦那様に似ていた。

「女って損ね。子供ができなければ、里に返されるわ。私もそう。」

まるで私に、子供が生まれなければ私にも用はないと言われているようだった。

「でも、鞠子さんは違うわ。」

私はそのお姉様の静かな悲しみが気になって、向いの席に座った。

「鞠子さんは、体が弱くて子供を産めなくても、惇が里に返さないわ。せっかく嫁に来てくれたのに、可哀想だって。」

その時だった。

お姉様は立ち上がると、部屋の窓から外を眺めた。

「ほら、ご覧なさい。」

そう言われ、窓の外を見てショックを受けた。

旦那様が、奥様と一緒に楽しそうに見つめ合いながら歩いている。

「羨ましいわ。惇にとって妻は、鞠子さんだけなのね。」

胸が引き裂かされそうだった。


ー 俺の熱い気持ちを受け取って欲しい -


そう私の耳元で囁いた旦那様は、もはやいない。
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