明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
旦那様は私の手を掴むと、ぎゅっと握りしめた。

「旦那様ああっ!」

「落ち着くんだ。珠緒。」

だがお腹の痛みは、激しくなってくる。

「うわあああ!ああああ!」

嫌だ。この子がいなくなるなんて、嫌だ!

「白河さんっ、頑張って!」

水森先生は手袋を真っ赤にしながら、何度もガーゼを入れている。

だが次の瞬間、何かがスルッとお腹の中から降りて行く感触がした。

「いやああああっ!」

そして一気に力が抜けた。

「白河さんっ!白河さんっ!」

水森先生の呼ぶ声がする。

「珠緒!返事をするんだ!」

だが声が出ない。体に力が入らない。

そして次の瞬間、水森先生は力なく答えた。

「旦那さん。力は尽くしましたが、赤ちゃんはもう……外に……」

それを聞いた瞬間、私の意識が途切れた。


目を覚ましたのは、朝だった。

「珠緒!」

旦那様の声がした。

「惇様……?」

「ああ、よかった。よかった、珠緒……生きててくれて……」
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