明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
腕にはまだ点滴がしてあって、看護婦さんが付いてくれていた。

「目を覚まされてよかったです。直に水森先生も来ると思います。」

看護婦さんの言う通り、廊下から足音が聞こえた。

「白河さんっ、目を覚ましたって?」

水森先生は私を見ると安心ように、胸を撫でおろした。

「白河さん。よかった。君も出血が酷くて、生死をさ迷っていたんだよ。」

そう言われても、腑に落ちない。

「赤ちゃんは、ダメだったんですね。」

旦那様も水森先生も、下を向いてうつむいた。

「珠緒。」

旦那様が、私の手を握る。

「君がいてくれれば、また子供は授かる。希望を持つんだ。」

すると水森先生が、神妙な面持ちで口を開いた。

「そのことなんですが。流産すると、一般的には妊娠する確率が減ります。」

私は冷や水を浴びせられた気がした。

「どういう事ですか!もう子供はできないって事ですか!」
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