明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
旦那様は、水森先生に言い寄った。

「いえ、あくまで可能性の問題ですので、全くできないというわけではありませんが。」

水森先生は、私を見つめた。

「奥さん、妾さんなんですね。」

私はハッとした。

水森先生には、知られたくなかった。

「あまり彼女を責めないであげてください。」

そう言って水森先生は、私の点滴を外して病院に戻って行った。

私はいたたまれなくなった。

「申し訳ありません。」

「いや、君が謝る事じゃない。」

その優しさが、却って胸を痛くした。

「どうして、責めてくれないんですか!どうして!」

私は旦那様の胸倉を掴んだ。

「落ち着こう。珠緒。」

「だって、せっかくの赤ちゃんがっ!」

そう言うと旦那様は、そっと私を抱きしめてくれた。

「君を責めてどうなる?赤子が戻ってくると言うのか。」

私は涙を流した。旦那様は優し過ぎる。
< 37 / 60 >

この作品をシェア

pagetop