運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「アルナリアの各地には、特級魔物と呼ばれる魔物が存在している。北の山脈にいるゴーレムもそのうちの一つだ」
「じゃあ、あと3つは……」
「南の海にクラーケン、東の山岳にグリフォン、西の洞窟にサラマンダーがいると言われている。イザベラはそれらを四つのオーブによって封じ込めていたが、少し前に、ゴーレムの結界が弱まった」

 セレナは一つの台座に目を移す。そこにあるオーブからは強い光が感じられない。

「どうして、ゴーレムだけ?」
「いや、実を言えば、すべてのオーブが徐々に力を失ってきている。それはもう今に始まったことではないが、五年ほど前から急速に衰えている」

 だから、アルナリア各地に魔物が現れるようになったのだろうか。

「じゃあ、いずれ、ほかの3つも」
「ああ。皮肉なものだが、世界を滅ぼそうとした魔女イザベラに──俺たちは、救いを求めるしかない状況だ」

 セレナはぎゅっとオーブを抱き寄せる。

「イザベラは生け捕りにするつもりだったが、なぜかあのほこらにいたのは、おまえだった。おまえが結界のオーブを精製できるとなれば、それは……」

 アレクはじっとこちらを見つめてくるが、口をつぐんで、頭を振った。

「今はオーブを納めるのが先決だ」
「……はい」

 こくりとうなずき、結界の力が弱まっている台座の前に立つ。

 光を失いつつあるオーブは、沈黙していた司祭たちが両手のひらを上へと突き出すと溶けるように消えていく。

 セレナは台座の上へ、そっとオーブを乗せた。

 内部で渦巻く闇と風の光が呼吸をするように脈打ち、空気が震え、魔法陣に光が流れ落ちていく。
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