運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 アレクを見上げて、セレナは言葉を飲み込んだ。とてもおかしそうに彼は目を細めていた。こんなにも楽しげに笑う人なんだと知って、どきりとした。

「考古学に興味があるので、つい……」
「若い娘なら、この世でもっとも高貴な宝石を欲しがると思っていたが……、まあ良い。すべてを叶えられる褒美を考えておこう」
「ほ、本当ですか?」
「メルン卿はおまえを養女にと考えているらしいが、必要ないかもしれないな」
「じゃあ、私に家を用意してもらえるんですか?」
「そう焦るな。……ああ、結界塔はあそこだ」

 前方を指差すアレクの視線の先へと目を移す。

 そこには、太陽の光を受けて輝く塔があった。雲を突くほどに高く、静寂な威厳を放つ白亜の塔。

 セレナは息を飲まずにはいられなかった。どこか、神聖な領域に踏み込むような緊張感に身が引き締まる。

「あれが、結界塔……」
「ああ。ルミナリアの時代より、結界のオーブを祀る場所として守られてきた塔だ」

 アレクに導かれながら、螺旋階段をのぼる。二人の足音以外、響く音はなく、息をひそめて彼の背中に遅れを取らないよう続いた。

 階段をのぼりきると、その異様な光景にセレナは息を飲んだ。

 静まり返る円形の空間に、ローブに身を包んだ司祭たちが微動だにせずに立っている。そして、高窓から射す光が照らし出す魔法陣を守っているかのように、彼らは等間隔に並んでいる。

「オーブは……四つあるんですか?」

 魔法陣は四つあった。それぞれの魔法陣の中心にある台座には、オーブが据えられている。赤、青、緑……と、一つのオーブを除いて、それらはあやしい光を放っている。
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